発達障害で障害年金を請求するには

発達障害とは、自閉スペクトラム症、注意欠陥多動障害(ADHD)、学習障害、チック症、吃音その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するものをいいます。

これらはすべて、生まれつき脳の働き方に違いがあるという点が言われておりますが、同じ障害であっても症状の現れ方が異なっていたり、複数の症状が掛け合わさっていたりということがみられます。

対人関係の障害(社会性の障害)、コミュニケーションの障害(言語機能の障害)、イマジネーションの障害(こだわり行動と興味の隔たり、固執性)の3つの特徴的な障害を持ちます。この他に光や音、匂いや肌触りなどの感覚過敏の症状もあります。

発達障害は、通常低年齢で発症する疾患である為、初診日は20歳前となることがほとんどですが、知的障害を伴わない方が発達障害の症状により、初めて受診した日が20歳以降であった場合は、当該受診日を初診日とします。この為、サラリーマンとして就労し始めた後に初診日を迎えた場合は、厚生年金での請求が可能となります。

実際、発達障害の診断を受けておられる方で当事務所にご相談頂くケースの中では、約40%の方が厚生年金での請求となっています。

発達障害は問診や心理検査(WAIS-III)を通して診断されますが、精神科を標榜する医療機関であっても発達障害の診療受付を行っている医療機関は限られており、大阪府内においても特定の医療機関への患者の集中が見受けられます。

自閉スペクトラム症とは

国際連合の専門機関の一つであるWHO(世界保健機関)が作成する疾患の分類ではコード(ICD-11)では「F84」になります。

コミュニケーションの場面で、言葉や視線、表情、身振りなどを用いて相互的にやりとりをしたり、自分の気持ちを伝えたり、相手の気持ちを読み取ったりすることが苦手です。

特定のことに強い関心をもっていたり、こだわりが強かったりします。

行動や関心、動作のパターンが限定的で、あらかじめ決められた行動に従って毎日を過ごしますが、イレギュラーな事態に直面するとパニックになることが多く、臨機応変な対応が困難なケースが見受けられます。

感覚過敏を持ち合わせている場合もあり、

・明器具や太陽光などに対する視覚過
・家族の生活音や話し声などに対する聴覚過敏
・食べ物の匂いや特定の空間に対する嗅覚過敏
・衣服の肌触りに対する触覚過敏

等があります。

また、社会に出て働き始めても、

・細部にとらわれてしまい、時間通りに最後まで物事を遂行することが出来ない
・会議等の大勢が揃う場所で空気を読まずに発言してしまい、周りからひんしゅくを買ってしまう
・自分独自の仕事やり方やルールにこだわり、それ以外の方法を受け入れにくい
・冗談やたとえ話、社交辞令がわからず、字義通りに解釈してしまう
・会話が一方的になる

のような症状のために他の人とうまくコミュニケーションを取ることが出来なかったりして、二次的にうつ病等、他の精神疾患を併発するケースもあります。

注意欠陥多動障害(ADHD)とは

国際連合の専門機関の一つであるWHO(世界保健機関)が作成する疾患の分類ではコード(ICD-11)では「F90」になります。

子供時代の症状の特徴として、

・学校の授業中に集中し続けることが難しい、忘れ物が多い、外からの刺激ですぐに気がそれてしまう等、実年齢に見合わない「不注意さ」
・動いていないと気分的に落ち着かず授業中も着席していることができずに動き回ったり、無意識のうちに身体が動いてしまう「多動性」
・感情や欲求のコントロールが苦手で、思いついたことをよく考えずに発したり、即座に行動に移してしまう「衝動性」

があげられます。

大人になっても注意の持続が困難であったり、細部に注意が向かない為に、仕事や家事でケアレスミスや物忘れが多く、しばしば約束の時間に遅れたり、そもそも約束を忘れたり、締め切りに間に合わなかったりを繰り返します。

一方で、自分の好きなことについて考えたり取り組んだりしていると、話しかけられても気づかず入り込んでしまう「過集中」の状態になる方もいらっしゃいます。

これらの特性は、程度の差はあるものの、誰にでも認められるものであるとは思います。

ご本人の人間性や知能等に問題はありませんが、社会適応性が悪く、親密な人間関係の持続が困難になったりすることが多い為、悩むことが多くなります。これが理由で、自尊心が低下し、二次障害でうつや不安の状態になります。

注意欠陥多動障害(ADHD)は、神経伝達物質(脳内で神経信号を伝達する物質)の異常が関与している可能性が高いことが、研究結果で分かっています。多くの場合、遺伝的(受け継がれる)要因が存在すると言われています。

人口調査によると、子どもの約5%、成人の約2.5%が注意欠陥多動障害(ADHD)の症状を持っているとされています。

治療薬のコンサータ(メチルフェニデート)は登録医しか処方ができませんので、通院(予定)先の医師が該当するかは確認が必要です。

発達障害による障害年金の認定基準

(1)各等級に相当すると認められるものを一部例示すると次のとおりである

障害の程度 障害の状態
1級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられる為、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
2級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
3級 社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの

認定において「たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して行う」とされています。また、発達障害とその他認定の対象となる精神疾患が併存しているときは、併合認定の取り扱いは行わず、諸症状を総合的に判断して認定されます。

一方、発達障害を持ちながらの就労について、

「雇用契約により労働に従事していることをもって、直ちに日常生活が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、ほかの従業員との意思疎通の状況等を確認する」

となっています。

 

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