■「障害厚生年金と障害基礎年金を同時に請求したケース」 東大阪市 障害厚生年金2級

 

相談者 女性(40代) / 主婦 / 東大阪市
傷病名 双極性感情障害
決定した年金種類と等級 障害厚生年金2級
その他 #社会的治癒 #初診日不明 #厚生・基礎同時請求 #主婦

症状・経過

ご主人が一度年金事務所に相談に行かれたようですが、通院歴が大変複雑で単独での申請は困難とのことで、当事務所にご相談頂きました。

 

本来の初診日は平成22年の国民年金加入期間中でしたが、その後受診していない期間が約7年ほどあり、その内の約5年間は厚生年金加入で就労をされていました。この厚生年金期間中の最後の方で、2つ目のクリニックを受診されておりました。

社会的治癒 説明

 

平成22年の初診時のクリニックはカルテは破棄されており、受付簿により記載された受診状況等証明書しか取得することは出来ませんでした。当然、転帰の部分の「治癒」には丸は付いておりませんでした。

その約7年後の厚生年金期間中に受診したクリニックのカルテは5年以内であり、当然残っているため、取得することが出来ました。この段階で、間の通院していなかった期間と、その間の年金制度の加入状況などが判明しました。

 

・通院していない期間が7年程度ある事

・その内5年間程度は厚生年金で就労していること

から、社会的治癒が認められる可能性があると判断しました。1つ目のクリニックの初診日と2つのクリニックでの初診日は、加入中の年金が異なる制度(厚生年金と国民年金)である為、この段階で障害厚生年金と障害基礎年金を同時請求することをご主人に提案し、2つ目のクリニックでの受診状況等証明書は2枚取得しました。

次は診断書の作成依頼となります。

国民年金加入中の1つ目のクリニックを初診とした場合、当然事後重症請求となります。(初診日から1年半時点の診断書が取れない為)

厚生年金加入中の2つ目のクリニックを初診とした場合、認定日から1年経過しておりませんでしたので、認定日請求となりますが診断書は1枚のみで足りることとなります。

現在の主治医に対しては「社会的治癒」と」「同時請求」についての説明を行い、ご理解いただいたうえで、2枚の診断書を依頼しました。

 

ここからは、社会的治癒を認めさせるための材料と情報をご主人に集めて頂き、申立書と補足資料で構成していく必要がありました。今回の資料としては、

①本人様の日記

②治癒期間中に取得した資格の証明書(民間資格)

③SNSの記載

④厚生年金の加入記録

等でした。

 

申請結果

障害年金受給年額:約156円(障害厚生生年金2級)

 

社労士の意見・感想 

社会的治癒を認めさせるには、治癒期間に「就労」できていたかどうかは大きなポイントです。国民年金期間のみですと、就労していたとしてもパート勤務か自営業であるため、フルタイム就労と判断されず、審査側からも就労の期間や給与等がわからない為、不利となります。(国民年金期間のみですと、5年程度では社会的治癒の認定は難しいと考えています)

その他、治癒期間の社会的活動がわかる記録は、多ければ多いほど有利となります。(その分情報をまとめるのに苦労しますが)

 

今回は障害厚生年金と障害基礎年金の2つの制度を同時請求しました。障害厚生年金を初診日とした場合のみで申請を行い、社会的治癒が認められなかった場合は「初診日が認められない」とのことで不支給決定となります。その際は、またゼロから国民年金期間中を初診日とした場合の申請を行いますが、同時請求した場合と比較すると6か月~1年程度、受給権発生が遅れることになります。それであれば、初めからどちらで認定されても良いように書類を揃え、同時請求申請するのが得策です。

同時請求の注意点としては、受診状況等証明書や診断書などは2セット用意する必要があります。(コピー不可)また、各請求書の表面に「○○年金同時請求」と朱書きを行い、審査側に同時請求していることがわかるようにしておく必要があります。

 

今回は、請求結果としては最善である、「社会的治癒認定」「厚生年金加入期間中の初診」となり、国民年金加入中の請求の方は返戻となりました。審査中、機構より「厚生年金加入中の方の申請を初診とする(社会的治癒を認める)ので、国民年金加入中の方の申請は返戻しても良いか?」との照会がありました。

その際、「厚生年金加入中を初診と認める(社会的治癒を認める)のであれば国民年金の申請の方は返戻でも良い。社会的治癒を認めず国民年金加入中の方を初診とするのであれば、厚生年金の方の請求は、返戻ではなく行政決定として欲しい」と解答しました。どちらの請求に対しても行政の決定を出させる必要があります。決定ではなく返戻対応となると、審査請求ができないケースが有る為です。

また、通常は審査期間は3ケ月程度ですが、今回は半年程度かかっています。これも「社会的治癒」と「同時請求」が理由であると思われます。

 

 

当事務所では、障害厚生年金と障害基礎年金の同時請求は年に1件程度あります。

現在も1件手続き中ですが、これは障害厚生年金と障害特別給付金の同時請求です。(片方の初診日が平成3年3月以前の学生期間中である為)

こちらも結果が出て、承諾が得られましたら事例として共有したいと思います。

 

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