■「軽度の知的障害であった為、障害年金はもらえないとあきらめていたケース」知的障害 大阪市 障害基礎年金2級

相談者 男性(20代) / フルタイム(障害者雇用) / 大阪市
傷病名 知的障害
決定した年金種類と等級 障害基礎年金2級
その他 #障害者雇用 #フルタイム就労 #20歳前傷病

症状・経過

お母様よりご相談頂きました。

乳幼児の際に「ミルクを飲まない」、「視線が合わない」等の指摘があり、弁天町の子供センター(当時)で育児のアドバイスを受けておられたようでした。

その後、大阪市立総合医療センターを受診し、軽度知的障害及び多動性障害と診断され、受診を継続されておりました。

小学校低学年時点では、普通学級で過ごされておりましたが、小学4年生頃になってくると授業についていくことが困難になり、またクラスメイトとの関わりも減少してきていました。担任の教師に療育手帳の取得を勧められ、申請したところ「B2」で認定。

小学校の高学年では、科目によっては支援学級で過ごされました。

中学校入学後は最初から支援学級で過ごし、専属の担当の教師から手厚いサポートがあった為、大きなトラブルはありませんでしたが、友人や他人への興味関心の薄さが顕著であったようでした。

高校は特別支援学校に進学。生徒3~4人に1人の割合で教師が配置されており、手厚いサポート体制の環境でした。

授業内容は、勉学よりも将来の就職に向けた手作業や訓練が中心のカリキュラムになっていたようです。

高校卒業後は就労移行支援事業所に1年半程度通所した後に、複数箇所での企業自習を経て、大手企業の物流倉庫の軽作業スタッフとして、障害枠・有期契約社員として入社。

当初お母様は「知的障害は軽度であること」と、「フルタイムで就労していること」を理由に障害年金は難しいだろうと考え、請求はしていなかったようですが、ご本人様の今後の長い人生を考え、経済的な不安を理由に、「一度ダメ元で良いから申請だけしてみよう」と考えられ、当事務所にご相談頂きました。

 

申請結果

障害年金受給年額:約78円(障害基礎年金2級)

社労士の意見・感想 

知的障害の判定は軽度でしたが、仕事や日常生活の御状況を拝見すると、2級の認定の可能性はあると考えました。

根拠は下記になります。

・日常生活(食事や家事等困難。偏食により糖尿病も有り。)はご家族のサポート無しでは困難である点。単独での外出は予め下見や練習が有れば可能であるが、単身で初見の場所への訪問は困難。(単身生活を想定すると、現状と同じレベルの維持は不可であると想定。)

・就労はしてるものの「契約社員」「障害枠」「職場からの配慮が充実している」という状況である点。

 

ただ、特に治療や服薬を必要としない御状況でしたので、通院をされておりませんでした。その為、診断書を書いて頂くための通院先を選定する必要がありました。

ご自宅近くで、障害年金に造詣が深いクリニックを紹介させていただき、数か月通院頂いた後に診断書を依頼。完成後、病歴・就労状況等申立書を整備し、申請までこぎつけました。通院されていない御状況からのご相談でしたので、ご相談から診断書完成、申請完了までは5か月程度を要しました。

 

その後、申請完了から3か月後には年金証書が届いたとのご連絡を頂きました。

 

受給決定後には再度ご来所頂き、今後の「親亡き後問題」や「後見制度」や「家族信託」についてもご相談頂きましたので、今後必要になりましたら専門家をご紹介する旨をお伝えしております。

 

知的障害の方の場合、症状が軽度ですと、中学卒業後は支援高等学校に進学し、就労移行支援事業所を経由して就労開始されるケースが多いと思います。

軽度の方の場合はフルタイムや正社員もあると思いますが、「働いているから障害年金は不支給」「障害は軽度なので障害年金は不支給」とはならないことを、ご留意頂きたいと思います。

是非ともお近くの社労士事務所にご相談頂ければと思います

 

→本事例のお客様の声はこちら