■「混合性不安抑うつ障害(F41.2)で、単身生活であったが2級で遡及できたケース」 大阪市 障害基礎年金2級

 

相談者 女性(40代) / 無職 / 大阪市
傷病名 うつ病
決定した年金種類と等級 障害基礎年金2級
その他 #遡及請求 #無就業 #一人暮らし2級

症状・経過

幼少期より、親から友達と遊ぶことについて許可されておらず、家の中にいることが多かったとのことでした。

小学校や中学校ではイジメに遭ってしまうこと多く、対人関係の構築が困難とのことでした。親との折り合いも悪く、家出をして通信制高校に通われました。

高校卒業後短期大学へ進学され、親の管理下から離れてアルバイトに従事することも有ったようですが、この頃より相手の話していることの理解に困難なケースがあることを自覚し始めたのことです。

大学卒業後、定職には就かずアルバイトを複数箇所で続けましたが、継続的な就労には至りませんでした。

28歳の頃に結婚し、四国に住居を移されましたが、程なくして夫からDV受けるようになった為離婚し、大阪に戻り単身生活を開始。

この頃より日常的に不安感や倦怠感があった為、近くのメンタルクリニックを受診したようです。その後は就労が困難な状況となった為に、4年間は生活保護に頼ることとなりました。この間に2つ目のクリニックを受診されていました。

その後、主治医から入院を勧められたことに対して恐怖を感じた為、通院中断されていました。

その約2年後、精神的に不安定な状態が続いていた為、通院を決意し、大阪市北区の精神科への通院を再開されたところで当事務所にご相談頂きました。

 

申請結果

障害年金受給年額:約78円(障害基礎生年金2級)

遡及額:292万

※遡及請求とは
遡及請求とは、初診日から1年6ヶ月経過した日である障害認定日時点に、なんらかの理由で請求されなかった場合に、障害認定日から1年以上経過した後で、障害認定日時点に遡って請求することをいいます。

 

社労士の意見・感想 

初診のクリニックは1度きりの受診でしたがカルテは残っていた為、初診の証明は難なくクリアできました。

現在の御症状は知人の方と同居されている状態でしたが、就労はおろか単独での家事や外出は困難であった為、2級認定の可能性は高いと判断しました。

認定日についても御症状は軽くなさそうでしたが、単身生活であったことが「日常生活能力がある」と判断され、2級認定はハードルが高いと考えていました。

 

現症の診断書の傷病名は「うつ病」でしたが、「発達障害」も併記されていました。

認定日の診断書は「混合性不安抑うつ障害」とされており、同居者の有無も「無」となっていました。

「混合性不安抑うつ障害」は名称に「うつ」が入っていますが、ICD-11コードでは「F41.2」となっており、神経症に分類されます。

神経症は障害年金の対象外の傷病ですので、この傷病名だけで認定されることは困難ですが、精神障害の傷病名が併記されていれば認定される可能性はあります。認定日の診断書には併記されておりませんでしたが、現症の診断書には「発達障害」が記載されていました。

発達障害は先天性の傷病ですので、現症の診断書で記載されている以上、認定日時点でも発達障害の特性・症状は当然あったということになります。

このため、認定日時点での診断書での傷病名は「混合性不安抑うつ障害」のみでしたが、精神障害である「発達障害」も含まれることになりますので、認定される可能性があると考えました。

単身生活については、病歴・就労状況等申立書で単身生活に至った経緯や周りの日常的なサポートの状況について記載しました。

 

結果は現症は想定通りの2級認定、認定日も良い意味で期待を裏切り2級認定となり、約3年半分が遡及して受給できることとなりました。(生活保護期間と2年分は重複しておりましたので、2年分は市町村に返還となり、実際は1年半分が手元に残る形となります。)

神経症と精神障害は医師によって見解が異なるケースもありますが(事実、同じ時期の異なる医師が書いた診断書で、傷病名が神経症と精神障害に分かれたことが何回もあります)、神経症でも受給できるケースが有りますので、あきらめずにチャレンジしたいところです。

 

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