■「統合失調症の休息期で請求したケース」 吹田市 障害基礎年金2級
相談者 | 女性(40代) / 無職 / 吹田市 |
---|---|
傷病名 | 統合失調症 |
決定した年金種類と等級 | 障害基礎年金2級 |
その他 | ※主婦 #初診日不明 #遡及請求 |
症状・経過
平成2〇年10月頃、当時の職場でのストレスの影響か、「殺す」「家族を殺す」という幻聴が聞こえるようになっていました。家族に「聞こえたか?」と確認し、本当の出来事であるかのように話していました。部屋の隅を指さし、「あそこから見られている」との言動があり、テレパシーや電波の類の話もするようになってしまいました。
家族が異常と考え、自宅近くのクリニックを受診したところ統合失調症と診断され、投薬を受けられました。その後症状は悪化し、3か月ほど入院されました。
その後症状が安定した為、医師より一旦減薬の指示があり、減薬されましたが症状は再燃し再度1ヶ月半程入院されました。
退院後は入院した病院のサテライトクリニックへの通院を開始、継続しておられましたが、本人の病識は乏しく、薬に対して拒否反応を示すことが多く、家族が管理し服薬していました。時折、妄想や幻覚、幻聴を思わせる言動があり、家族が本人に問い詰めましたが、再度入院させられることを恐れてか、「何でも無い、何も見えていない」と言う為、それ以上追及することはありませんでした。
平成30年10月に入り「電磁波で打たれた!」「殺される!」等の幻聴幻覚を思わせる言動があり、急性期の予兆があり、同月末に3回目の入院、その後約3か月入院されました。
退院されたものの、今後の通院費用や再度の悪化時の入院時の費用などを懸念し、障害年金の受給ができないかと、ご家族よりご相談頂きました。
申請結果
障害年金受給年額:約78万円(障害基礎生年金2級)
遡及額:約390万円
社労士の意見・感想
初診のクリニックの受診は5年を超えており、カルテは破棄されていましたが、その他の資料を調べたところで初診日認定は問題ないと判断しました。
初診日時点ではご主人の扶養であった為、基礎年金での請求となり、2級以上でなければ受給権は発生しませんが、手帳申請時の診断書の内容的には2級は困難な内容でした。休息期であった為、日常生活はある程度成り立っていると判断されたためと思われます。
診断書は以前1年間の症状の波をご考慮頂くことを添えて依頼しました。(これは「障害年金の診断書(精神の障害)の記載要領」に明記されています。)
病歴・就労状況等申立書上でも、①現在は寛解期であり、②本人に病識が薄いことや過去に入退院を複数回繰り返していること、③家族は再び急性期になることを危惧しており、④本人は幻覚や幻覚を隠そうとしているエピソード、等を併せて記載し請求を行いました。
(認定日の診断書依頼時には現在の診断書の写しを同封するよう要請があり、同等の記載内容となりました。)
請求結果は、認定日、現症共に2級認定となり、ご家族様には大変喜んでいただきました。
統合失調症はその他の精神疾患よりも認定されやすい傾向にありますが、今回のように診断書の内容がボーダーライン上である場合は、病歴・就労状況等申立書やその他の客観的な資料の添付が重要になってくると思われます。