■大阪市 障害年金 「フルタイム就労中であったが2級に認められたケース」

 

相談者 男性(40代) / 公務員 / 大阪市
傷病名 双極性感情障害
決定した年金種類と等級 障害共済年金2級
その他  #額改定請求 #公務員 #フルタイム就労 #障害者雇用

 

症状

公務員として研究機関に就労中に、職場での人間関係や自宅の騒音で不眠や抑うつ状態が現れ、精神科を受診しうつ病と診断されました。休職と復職を繰り返したのちに初回申請し障害共済年金3級に認定され受給開始。「一般雇用」の「フルタイム就労中」、「単身生活」での申請で、3級認定というのはかなりレアなケースではないかと存じます。その後も疲労感や抑うつ、自己不全感が強まり再度休職、復職後は思考や判断の力がかなり低下した一方、職場で些細なことで怒鳴り散らす等、躁状態での問題行動が出ておられました。その後も短期間の休職を繰り返し、出社はするものの机に座っているだけで業務は与えられていない状態でした。診断名はうつ病から双極性感情障害に変更。

この段階で「以前よりかなり症状も悪く、療養に専念したいのだが何とか2級に額改定請求はできないか」とのことで当事務所にメールフォームにてご相談いただきました。

 

申請結果

障害年金受給年額:約191 

 

濱路の意見・感想 

ご相談いただいた段階で、障害共済年金3級を受給中でした。初回申請時の診断書を拝見しましたがこの時もフルタイム就労されており、3級の認定が出ているだけでも驚愕でしたので、ここから額改定請求で2級に認定されるのはかなり難易度は高いと感じていました。しかし、日常生活や職場での状況やを聞いていると、労働能力は無いに等しく、日常生活の大部分もご家族の援助が無ければ成り立たないような御状況であるとわかりました。(当たり前ですが労働能力や日常生活能力の有無・程度は、最終は医師の判断です。)また、前回から「雇用形態が障害者雇用に代わっていること」や「単身生活から家族と同居」に変わっていることも、2級に近づく要素です。

これらの状況を診断書に落とし込むことができれば、共済での請求であることも考慮すると、2級への額改定請求は不可能では無いと判断し、受任しました。

受任する際、額改定請求を一度を行うと結果の如何に関わらず1年間は再度額改定請求を行うことは出来ない旨をお伝えしました。これは非常に重要で、もし額改定請求が認められずに3級の状態で仕事を退職してしまった場合でも、額改定請求を行うことができないからです。(退職している状態の方が2級に認められる可能性が高い為、在職中より退職された際の額改定請求を提案しましたが収入が途切れることのリスクが有る為、在職中での額改定請求となりました。)

本人様からヒアリングした内容で診断書依頼状を作成し、主治医様にお願いしたところ快く診断書を作成頂きました。また日常生活や職場での状況も、依頼状を参考に詳細に診断書に記載頂くことができ、実態を的確に表した診断書が完成しました。診断書を受領し内容確認した時、「これで2級はでなければ審査請求も想定しなければならない」と感じたのをよく覚えています。

約3ヶ月の審査期間を経て無事、額改定請求の通知が届きました。3級と2級では配偶者加算や子の加算が有る為、月額で10万円以上年金額は上がります。退職し療養に専念されるとしても生活していける金額になります。

 

「生活費を気にせず、療養に専念できる」、これが障害年金の重要な存在意義の一つです。症状が回復することを願っております。

 

 

精神疾患において、「就労中での申請」と「休職若しくは離職中」での申請は申請結果に大きく影響します。

生活費の為に退職することは出来ないが、「在職中に先に障害年金の受給権を確保したうえで退職」という順序も踏めない為、療養に専念できず症状が長引くというケースの相談も頻繁にお受けします。今回のように在職中に先に受給権が得られれば良いですが、就労中(特にフルタイム)での申請は「3級」であったとしても認定されるのは難しい為、この矛盾に対してどうしていくかは当事務所も含め今後の課題であると感じております。