障害年金が通りやすい都道府県というのはありますか?
「障害年金の審査に都道府県の格差はあるのか」
この記事の監修者
濱路陽平 社会保険労務士
濱路社労士事務所、代表社会保険労務士の濱路陽平です。
大阪市内・阪神間・北摂エリア・京阪沿線沿いを中心に障害年金のご相談・申請代行・審査請求に注力しています。
障害年金制度を世の中に広め、障害によって働けない人達が豊かな生活を維持できるようになること、一人でも多くの必要としている方にこの制度をお届けすることをモットーに、研鑽に努めて参ります。
質問
障害年金を申請する際、「通りやすい都道府県」と「通りにくい都道府県」というのはあるのでしょうか?
回答
結論から申し上げると、現在は都道府県ごとの審査結果の格差というのはほとんど無くなっています。
平成29年4月以前は、「障害基礎年金」については都道府県ごとに審査を行っており、審査に関しては最大で6倍の格差があり、当時は「通りやすい都道府県」「通りにくい都道府県」というのが存在しました。
(不支給割合は、最も高い大分県で24.4%、最も低い栃木県で4.0%。)
第1位 | 大分県 | 24.4% |
第2位 | 茨城県 | 23.2% |
第3位 | 佐賀県 | 22.9% |
第4位 | 兵庫県 | 22.4% |
第5位 | 広島県 | 21.2% |
第1位 | 栃木県 | 4.0% |
第2位 | 新潟県 | 5.2% |
第3位 | 宮城県 | 5.7% |
第4位 | 長野県 | 5.8% |
第5位 | 島根県 | 6.5% |
障害年金の申請においては、精神障害と知的障害が全体の6~7割を占めていますが、これら精神障害と知的障害に対しての審査のばらつきが、全体の審査結果のばらつきに直結しておりました。
具体的には、精神障害と知的障害用の診断書の裏面の「日常生活能力の程度」を評価する5段階の運用にありました。これら「日常生活能力の程度」の評価に対して、都道府県によって異なる運用がされていることが明らかになりました。
この5段階評価は
(1)精神障害(知的障害)を認めるが、社会生活は普通にできる。
(2)精神障害(知的障害)を認め、家庭内での日常生活は普通にできるが、社会生活には、援助が必要である。
(3)精神障害(知的障害)を認め、家庭内の単純な日常生活はできるが、時に応じて援助が必要である。
(4)精神障害(知的障害)を認め、日常生活における身のまわりのことも、多くの援助が必要である。
(5)精神障害(知的障害)を認め、みのまわりのこともほとんどできないため、常時援助が必要である。
となっており、医師が患者の状態を判断して(1)から(5)をチェックすることになっています。
不支給割合の低い県(栃木県等)においては(2)相当を障害基礎年金を支給する目安としている一方、不支給割合の高い県(大分県等)においては(3)相当を支給の目安としていました。これでは審査結果にばらつきが出るのは当然です。
これを踏まえて、厚生労働省と日本年金機構は、精神・知的障害の等級判定のあり方について平成27年2月19日から全8回の「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会」を開催し、全国統一のガイドライン「等級判定ガイドライン」を設けました。
この等級判定ガイドラインの施行と、「障害年金センター」を新たに東京に設置することによる一極審査体制により、都道府県ごとの審査のばらつきの是正を図りました。
引用:「障害年金の業務統計等について 令和2年9月10日 厚生労働省年金局 日本年金機構」
ガイドラインが平成28年9月施行されて7年以上が経過しておりますが、実務の現場からの感想としては、上記の通り以前と比べると格差は無くなっていると思われますが、審査の担当になる審査医や審査時期で、審査結果にまだ差異が存在すると感じています。(例えば、コロナ禍の令和3年の夏以降、遡及請求が以前と比較すると認定されやすくなっています。)
当初はガイドライン施行後、3年を目安に見直しを再検討するとのことでしたが、見直しを行う話は現状は具体的には出てきておりません。
今後も、ガイドラインの運用の動きについては、引き続き注視していく必要があります。
※障害厚生年金に関しては以前から東京で一括して審査が行われていた為、都道府県ごとのばらつきというのはありませんでした。当然現在もありません。
国家公務員共済(KKR)や日本私立学校振興・共済事業団、地方職員共済組合、公立学校共済組合、地方職員共済組合についても、本部で一括審査を行っている為、住んでいる都道府県ごとの審査のばらつきというのはありません。(各共済組合によって、「初診日の認定の仕方」や「等級認定」には大きな差異があります。)
(本回答は、2022年6月時点でのものです。)
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