障害者の医療費の自己負担額は?大阪ではどのような補助・助成制度があるの?

この記事の監修者

濱路陽平 社会保険労務士

濱路社労士事務所、代表社会保険労務士の濱路陽平です。

大阪市内・阪神間・北摂エリア・京阪沿線沿いを中心に障害年金のご相談・申請代行・審査請求に注力しています。

障害年金制度を世の中に広め、障害によって働けない人達が豊かな生活を維持できるようになること、一人でも多くの必要としている方にこの制度をお届けすることをモットーに、研鑽に努めて参ります。

質問 

仕事でうつ病になり、精神障害者保健福祉手帳の2級を持っています。現在は健康保険から貰える傷病手当金と妻の収入で生活しています。毎月1回精神科クリニックに通院しており、病院代と薬代の負担が大きいと感じています。国や自治体からの医療費の公的な補助や助成制度はありますか?

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回答

まず大前提として日本は国民皆保険制度により、健康保険証を窓口で提示することにより医療機関や薬局での窓口負担は3割となります。(70歳以上の方の自己負担割合は所得により細分化されており、一般所得者に該当する方は75歳未満では2割、75歳以上では1割負担となりますが、現役並み所得者は3割、75歳以上で一定以上所得がある方は2割負担となります。)

ここから医療機関や薬局の窓口で支払った額(※)が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する高額療養費制度があります。

ここからさらに、障害をお持ちの方に対する公的な医療費助成の制度として、「自立支援医療制度(精神通院医療・更生医療・育成医療)」「重度障がい者医療費」「難病医療費助成制度」「小児慢性特定疾病医療費助成制度」等があります。

詳細は下記にて説明していきますが、各制度の適用される優先順位としては、「公的医療保険(高額療養費の適用を含む)」→「難病医療費助成制度」→「自立支援医療」→「福祉医療(重度障がい者医療費・ひとり親家庭医療・乳幼児医療)」→「生活保護(医療扶助)」となります。各自治体の制度より、まずは国の制度が優先される形式となっています。

 

自立支援医療制度とは

自立支援医療制度は、心身の障害を除去・軽減するための医療の医療費の自己負担額を軽減する公費負担の医療制度です。

精神通院医療・更生医療・育成医療に分けられており、対象の障害と治療例が定められています。

精神通院医療

向精神薬、精神科デイケア等

更生医療、育成医療

ア.肢体不自由・・・関節拘縮→人工関節置換術

イ.視覚障害・・・白内障→水晶体摘出術

ウ.内部障害・・・心臓機能障害→弁置換術、ペースメーカー埋込術、腎臓機能障害→腎移植、人工透析

助成内容(適用された場合の利用者負担額)

原則として1割負担となります。ここからさらに世帯の所得(納税額)に応じて所得が一定未満の方に対してはひと月あたりの自己負担額の上限が定められており、上限額以上の医療費を支払う必要が無くなります。

また、統合失調症等の重度の方に関しては、治療が長期間にわたることが想定されることから「重度かつ継続」※2という区分が設けられており、この区分が適用されると所得が高い方に対してもひと月ありの自己負担額の上限額が設定されます。

所得区分 世帯の所得 ひと月あたりの負担上限額 「重度かつ継続」適用時のひと月あたりの負担上限額
生活保護世帯 生活保護を受給している世帯 0円  
低所得1世帯 市町村民税非課税であり、本人の所得が80万円以下 2,500円 2,500円
低所得2世帯 市町村民税非課税であり、本人の所得が80万円を超える 5,000円 5,000円
中間所得1世帯 市町村民税納税額が33,000円未満 高額療養費の限度額が上限 5,000円
中間所得2世帯 市町村民税納税額が33,000円~235,000円未満 10,000円
一定所得以上 市町村民税納税額が235,000円以上 対象外 20,000円

※2)「重度かつ継続」の対象者  「重度かつ継続」の対象となるのは、次のいずれかに該当する方です。

・医療保険の「多数該当」の方(直近の1年間で高額な治療を継続して行い、国民健康保険などの公的医療保険の「高額療養費」の支給を4回以上受けた方)

・①~⑤の精神疾患の方(カッコ内はICD-10(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)による分類)

①症状性を含む器質性精神障害(F0) (例)高次脳機能障害、認知症 など  

②精神作用物質使用による精神及び行動の障害(F1) (例)アルコール依存症、薬物依存症 など  

③統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害(F2)  

④気分障害(F3)     (例)うつ病、躁うつ病 など  

⑤てんかん(G40)

・3年以上精神医療を経験している医師から、情動及び行動の障害又は不安及び不穏状態を示すことから入院によらない計画的かつ集中的な精神医療(状態の維持、悪化予防のための医療を含む)が続けて必要であると判断された方

有効期間

1年以内である為、毎年の更新が必要です。

申請先

お住まいの市区役所の窓口

必要書類

・申請書

・診断書(自立支援医療費・精神通院所定様式)

・同意書兼世帯状況申出書

・健康保険証の写し

心療内科・精神科では、医療機関側から勧めてくれるところと、そうでないところにわかれます。そうでないケースであっても、患者側からお願いすると手続きを進めてもらえるケースも多い為、通院費用が負担に感じられている場合は一度お願いしてみても良いかもしれません。(診断書を書く書かないかは医師の判断になりますし、申請が認められどうかも自治体の判断となります。)

また、精神疾患での申請の場合、精神障害者保健福祉手帳申請時に自立支援医療の申請有無をチェックする箇所が診断書にありますので同時に申請することが可能です。

重度障がい者医療費とは

重度の障がいがある方に対して、必要とする医療が容易に受けられるよう医療費の自己負担額の一部を助成する制度です。

対象となる人

・身体障がい者手帳1級・2級の交付を受けた方

・重度の知的障がい者の方

・身体障がい者手帳3級から6級の交付を受けかつ中度の知的障がい者の方

・精神障がい者保健福祉手帳1級の交付を受けた方

・難病法の助成対象者及び特定疾患医療受給者のうち、障がい年金1級(9号)相当の方または特別児童扶養手当1級(9号)相当の児童

所得制限

扶養人員所得制限額収入額(目安額)
0人472万1千円以下645万1千円以下
1人510万1千円以下689万円以下
2人548万1千円以下731万2千円以下
3人586万1千円以下773万4千円以下
4人1人増える毎に扶養人員3人の所得制限額に38万円を加算した額以下

助成内容

医療費、薬局でのご負担、訪問看護利用料が1日あたり最大500円の負担で済むようになります。(例えば1日に医療機関、薬局、訪問看護ステーションをそれぞれ利用した場合の合計負担額は1,500円となります。同一医療機関であっても「入院」と「通院」、「歯科」と「歯科以外」は それぞれ別枠での計算となります。(1日の負担が500円に満たない場合は、その額となります))

有効期間

有効期間は1年間で、原則毎年10月末日までです。

11月1日から(翌年の10月末日まで)の新しい医療証については、前年の所得判定後、引き続き対象になる方には、自動的に送られます。更新の手続きは、原則不要となっています。(障害の状態は手帳の更新状況によって判断されます)

ただし、所得制限を超えられた方は、医療証の資格が喪失となります。新しい医療証はお送りしません。

申請先

お住まいの市区役所の担当部署にて(障害福祉課等)

必要書類

・健康保険証

・次のうちお持ちのもの

   ・身体障がい者手帳 ・療育手帳

   ・精神障がい者保健福祉手帳

   ・特定医療費(指定難病)受給者証

   ・特定疾患医療受給者証

・上記のうち特定医療費(指定難病)受給者証又は特定疾患医療受給者証のみをお持ちの方は、次のもの。

    ・障がい年金又は特別児童扶養手当を受給されている場合

     ⇒年金改定通知書・特別児童扶養手当証書

    ・障がい年金又は特別児童扶養手当を受給されていない場合

     ⇒主治医による意見書

難病医療費助成制度とは

国が指定した難病(指定難病)と診断され、、「重症度分類等」に照らして病状の程度が一定程度以上の方に適用される制度です。対象疾病の診断基準とそれぞれの疾病の特性に応じた重症度分類等が、各疾病毎に設定されています。

対象となる方は、原則として「指定難病」と診断され、「重症度分類等」に照らして病状の程度が一定程度以上の場合です。

参考:難病情報センター 「指定難病患者への医療費助成制度のご案内」

助成内容(適用された場合の自己負担額)

医療費等の3割を自己負担している方について、負担割合が2割になります。(もともとの負担割合が1割又は2割の方は、変更ありません。)ここからさらに世帯の所得(納税額)に応じて所得が一定未満の方に対してはひと月あたりの自己負担額の上限が定められており、上限額以上の医療費を支払う必要が無くなります。

所得区分 世帯の所得 ひと月あたりの負担上限額 「高額かつ長期」適用時のひと月あたりの負担上限額※ 人工呼吸器等 装着者
生活保護世帯 生活保護を受給している世帯 0円 0円 0円
低所得1世帯 市町村民税非課税であり、本人の所得が80万円以下 2,500円 2,500円 1,000円
低所得2世帯 市町村民税非課税であり、本人の所得が80万円を超える 5,000円 5,000円
一般所得1世帯 市町村民税納税額が課税されているが71,000円未満 10,000円 5,000円
一般所得2世帯 市町村民税納税額が71,000円~251,000円未満 20,000円 10,000円
上位所得以上 市町村民税納税額が251,000円以上 30,000円 20,000円
入院時の食費 全額自己負担  

※高額かつ長期とは、支給認定月以降の月ごとの医療費総額(10割)が5万円を超える月が年間6回以上ある方です。適用を受けるためには、申請をする必要があります。

有効期間

有効期間は、原則1年以内で、病状の程度・治療の状況から医療を受けることが必要と考えられる期間です。ただし、特別な事情があるときは、1年3か月を超えない範囲で定めることができます。有効期間を過ぎて治療継続が必要な場合は更新の申請を行う必要があります。

申請先

各都道府県・指定都市へ申請します。大阪府の場合は管轄の保健所(東大阪市は保健センター)です。

必要書類

・特定医療費(指定難病)支給認定申請書(新規)

・臨床調査個人票(新規)(6か月以内に難病指定医に書いてもらったもの)

・保険証の写し

・市町村民税課税証明書(原本) 

・受診を希望する医療機関の名称・所在地が確認できる書類 等

小児慢性特定疾病医療費助成制度とは

子供の慢性疾患のうち、「小児がん」等の特定の疾患については、治療期間が長く、医療費負担が高額となる為、児童の健全育成を目的として、疾患の治療方法の確立と普及、患者家庭の医療費の負担軽減につながるように、医療費の自己負担分を補助する制度です。

対象となる人

小児慢性特定疾病にかかっており、厚生労働大臣が定める疾病の程度である児童等が対象です。

・慢性に経過する疾病であること

・生命を長期に脅かす疾病であること

・症状や治療が長期にわたって生活の質を低下させる疾病であること

・長期にわたって高額な医療費の負担が続く疾病であること

※上記の全ての要件を満たし、厚生労働大臣が定めるもの。

※18歳未満の児童等が対象です。(ただし、18歳到達時点において本事業の対象になっており、かつ、18歳到達後も引き続き治療が必要と認められる場合には 、20歳未満の者も対象とします。)

引用:小児慢性特定疾病情報センター

助成内容(適用された場合の自己負担額)

所得区分 世帯の所得 自己負担上限額
一般 重症※ 人工呼吸器等 装着者
生活保護世帯 生活保護を受給している世帯   0円  
低所得1世帯 市町村民税非課税であり、本人の所得が80万円以下   1,250円 500円
低所得2世帯 市町村民税非課税であり、本人の所得が80万円を超える   2,500円
一般所得1世帯 市町村民税納税額が課税されているが71,000円未満 5,000円 2,500円
一般所得2世帯 市町村民税納税額が71,000円~251,000円未満 10,000円 5,000円
上位所得以上 市町村民税納税額が251,000円以上 15,000円 10,000円
入院時の食費 1/2自己負担

※ 重症

①高額な医療費が長期的に継続する者(医療費総額が5万円/月(例えば医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円/月)を超える月が年間6回以上ある場合)

②現行の重症患者基準に適合するもの、のいずれかに該当。

有効期間

申請日から1年です。有効期限到来以降、継続して医療費の助成を受ける場合は、更新手続きを行う必要があります。

申請先

お住まいの市町村を管轄する保健所

必要書類

・支給認定申請書兼同意書

・世帯調書

・委任状

・小児慢性特定疾病医療意見書

・医療意見書別紙(療育指導連絡票、重症患者認定意見書、人工呼吸器等装着者証明書)(必要な方のみ)

※療育指導連絡のある場合、重症認定基準を満たし重症認定申請をする場合、人工呼吸器等装着者の認定基準を満たす場合、医師の記載したものが必要です。

・保険関係照会同意書(国民健康保険組合に加入している方のみ)

・受診者と同一の健康保険に加入している人の範囲を確認できる書類

受診者の加入する健康保険 必要書類
市町村国民健康保険 住民票(世帯全員分でかつ続柄が記載されたもの) 健康保険証の写し(上記1.『世帯全員の住民票』に記載されているすべての方の分)
国民健康保険組合 住民票(世帯全員分でかつ続柄が記載されたもの) 健康保険証の写し(上記1.『世帯全員の住民票』に記載されているすべての方の分)
上記以外(健保・共済など) 健康保険証の写し(受診者の分)
生活保護法の被保護世帯 不要(ただし、健康保険証をお持ちの場合は、その写しが必要)

・世帯の住民税額等を証明する書類

(ア)住民税特別徴収税額決定通知書

(イ)住民税課税証明書(所得証明書)・非課税証明書

(ウ)生活保護受給者証(受給証明書)

受診者の加入する健康保険 必要書類
市町村国民健康保険 上記(ア)もしくは(イ)
※受診者と同一の健康保険に加入しているすべての方の分が必要。ただし、16歳未満でかつ他の方の証明で扶養されていることが明らかな方は除く。
国民健康保険組合 上記(イ)
※受診者と同一の健康保険に加入しているすべての方の分が必要。ただし、16歳未満でかつ他の方の証明で扶養されていることが明らかな方は除く。
上記以外(健保・共済など) 上記(ア)もしくは(イ)
※受診者が加入する健康保険の被保険者の分が必要。
生活保護法の被保護世帯 上記(ウ)

・申請者(保護者または成年患者)の住所を確認できる書類

公的機関が発行したものに限る(住民票、運転免許証のうつし等)

まとめ

これらの制度を使うことで、定期的な通院費や薬代の負担額を下げることができますので、ご自身に当てはまりそうな場合は申請を検討されることをお勧めいたします。

また、割引や減免とは趣旨が異なりますが、国から支給される障害年金を受給することで医療費等を含めた生活費の負担軽減は可能です。こちらも併せてご検討ください。